Fragile~思い出に変わるまで〜
もしかしたら急なトラブルに、健が慌てているかもしれないのだ。


変な心配をさせないように、私は急いで携帯を持ち直した。


親指を器用に動かして、大急ぎでメールを打つ。

【わかった

大変みたいだけど、がんばってね?
話は後でゆっくり聞くから、気をつけて】


送信ボタンを押して椅子の背もたれに体を預けると、自然と溜め息が漏れた。


――嫌な予感がする。


今更ながらにがんばってね?なんて返信したことを後悔した。


なんでちゃんと言えなかったんだろう?


早く帰ってきてって……


私はいつもそうだ。


健に嫌われないように気を付けながら生活してる。


はぁ……もう一度溜め息をついて、私は重たい体を引きずって、午後の業務に戻っていった。


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