Fragile~思い出に変わるまで〜
そう言いながら、さとみの目を見て微笑むと、彼女は驚いたように目を丸くした。


「仕事もがんばったおかげで、部長に昇進することができて……

少しだけ……自分に自信が持てたような気がしたんだ……

そんな時だった

桜井に花見に行かないかって誘われて……さとみに再会することが出来たのは」


その時のことを思い出しながらそう言うと、さとみもまた同じように思い出しているように見える。


「久しぶりに会ったさとみは……幸せそうで……すごく……綺麗になってた」


素直にそう思ったことを伝えると、さとみは恥ずかしそうに俯く。


「俺はそんなさとみを見て、年甲斐もなくドキドキしたよ」


少し照れながら、俺はそう言って次の言葉を探した。


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