Fragile~思い出に変わるまで〜
「おはよう!健太くん

おじさんのこと覚えてるかな?

こないだ水族館に行ったときに会ったよね?」


緊張しながらもなるべく親しみやすいように挨拶したつもりだが、彼はさとみの後ろに張り付いたまま、こちらに出てこようとしない。


はぁぁ……と小さくため息をつきながら、焦っても仕方ないと自分に言い聞かせる。


さとみは申し訳なさそうに、健太くんに何か声をかけているが、なかなか手強そうだ。


「とりあえず乗って!

さとみも一緒に後ろに乗るだろ?」


そう二人を促すと、さとみに手を引かれながら彼も何とか車に乗り込んだ。


それから動物園に着くまでの間、何度も会話をしようと試みるが、なかなか打ち解けようとしてくれない。


さとみも困っている様子で、なだめたりしているが健太くんの態度は変わらなかった。


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