Fragile~思い出に変わるまで〜
携帯のランプが点滅するのをチラッと横目に見ながら、俺はまだ終わらない仕事と格闘していた。
「あぁー、これが終わんなきゃ、昼飯も食えねぇ!」
髪の毛をクシャクシャに掻きむしりながら、頭を抱えていると、横にいた部下が声をかけてきた。
「大丈夫ですか?課長」
まだ入社して3年目のこいつは、なかなか信頼できる後輩だ。
「うーん……あんまり大丈夫じゃないかも
桜井ぃ、助けてくれ!」
わざと大袈裟にそう言うと、桜井はちょっと笑いながら俺を突き放す。
「でもそれ課長じゃないと出来ないやつじゃないですか」
「わかってるけどさぁ
ちょっと言ってみたかったんだよ」
情けない声を出しながらお手上げと言うように伸びをすると、桜井は呆れたように笑う。