Fragile~思い出に変わるまで〜
「ほんとだよ?

また会えるし、遊んでくれるから」


さとみは健太くんを安心させようと、そう繰り返し言った。


するとようやく彼は泣き止んで、ホッとしたように涙を拭う。


急にお腹が空いたのか、おにぎりを頬張りながら、唐揚げにも手を出し始めた。


俺とさとみは顔を見合わせて、とりあえず元気になった健太くんにホッと胸を撫で下ろす。


お昼を食べ終わってからは、元気にあちこち動物を見て回り、笑顔も見せるようになった。


そんな姿を見て、俺は複雑な気持ちになる。


健太くんは果たして俺を父親として受け入れてくれるんだろうか?


こんな状態で、さとみは俺ともう一度やり直してくれるんだろうか……?


不安な思いを抱えながら、無邪気に笑う健太くんを俺はじっと見つめていた。
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