Fragile~思い出に変わるまで〜
どうやら撮影会は終わったようで、三人ともすっかりくつろいでいるようだ。


「二人とも来てくれてありがとう

もうそろそろ出かける時間だから、よろしくね?」


さとみがそう声をかけると、みんな揃って返事をする。


それぞれが出かける準備をして玄関へと急いだ。


美咲と桜井が健太を連れて外に出る。


続いてさとみも花純美を抱いて出ていった。


誰もいなくなった部屋を見回しながら、これまでのことを思い出す。


この部屋でいろんなことがあった。


さとみと暮らした10年……


一人で荒んだ生活をした時期もあった。


あやとひなに救われ……三人で暮らした3年の月日……


そして今――


二人の子供や大切な友達……愛する妻。


たくさんの犠牲を払って、いろんな人を傷つけて、やっと得た幸せ。


忘れちゃいけない………


今の生活を大事に……大切にしよう。


いろんな思いを胸に、俺は最後に玄関のドアをそっと閉じた。


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