Fragile~思い出に変わるまで〜
「なんか……されたのか?」


自分でも驚くほど、低い声で聞いていた。


たぶん彼女をこんなにも傷つけた元旦那に、怒りを感じていたんだと思う。


「私が悪いの……

馬鹿だから、話し合いをお店とかにすれば良かったのに、わざわざ相手の家にしちゃって……」


そこまで言ってまた言葉を詰まらせる。


嫌な予感がした。


もう言わなくていいと口を開きかけたとき












「レイプされたの……」











「――っ!!」


そんなこと……言わせちゃいけなかった。


心臓がドクドクと飛び出すくらいの勢いで脈打つ。


なんて声をかけていいかわからずに、黙って聞いていると、藤森が真っすぐに俺の目を見て言った。


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