Fragile~思い出に変わるまで〜
藤森との話をひとまず中断して、もう11時を過ぎていたので送って行くことにした。
正直、まだ混乱している。
自分が、藤森の好きな人として、元旦那に会ってほしいと相談されたのだ。
復縁を断る理由に好きな人がいると話したら、相手は誰かとしつこく聞かれたらしい。
仕方なく最近クラス会で会ったばかりだった元カレの名前を出してしまったってとこだろう。
俺は既婚者だし、相手に調べられたらすぐにばれると、一度は藤森には断ったのだが、そこまで調べる人じゃないから大丈夫の一点張りだ。
話は平行線のまま、時間ばかりが経過してしまった。
店を出て、タクシーを停める。
同じ方向だからと、二人一緒に乗り込んだ。
しばらく無言のまま、お互い外の景色を眺める。