彼はクールフェイス☆
ヤバイ。ヒナタの性格からいって騒がれるの嫌な筈。
ああっ、こういうときに限って事情を知ってる私の親友達は不在………失敗した~!
「どうせだから公開告白でいこうぜ」
な、なんですと~?
「いや、あの違…」
周りだけ異常に盛り上がって、私の話しなんか聞いちゃいない。
あぁ、どうしよう。こんなんじゃせっかく買ったプレゼント貰ってもらえないよ…
その時だった。
「おまえら、何馬鹿なこと言ってんだ?」
教室の入口付近から聞こえる大きな声。
私も含め、声の主にみんな一斉に注目。
そこに立ってたのは……木村君!?
「なんで成宮に告白なんかさすんだよ。ヒナタと付き合ってんのに」
『はぁっ!?』
その場にいたクラスメートが、一斉に疑問形な声を発する。
あっ、やっぱりみんな知らなかった。
私的には、ヒナタが木村君には話してたのが意外だったんだけど。
「なんだよ、聞いてねぇよ!」
「だって言ってないもん。なっ、ヒナタ」
ケロッとした木村君に、うんと頷いて肯定するヒナタ。
「言う必要性が無かった」
サラっと真面目な顔して答えないでよぉ。
「で?用あるんじゃないの?」
「う、うん。でも……」
ヒナタの声に我に返ってみたものの、こんな状態で今更だよね。
「やっぱりいいや…」
「行こ」
「えっ……?」
おもむろにヒナタに手を掴まれて引っ張られる。
ビックリして見上げる。斜め後ろからのその横顔しか見えないけど、シャープな顎のラインと、歩く動きにあわせて揺れるサラサラの黒髪。
それに初めてだった。
私の手をすっぽり包む温かい感触。ヒナタの手だぁ。
「マジでぇ?」
いまひとつ信用できないような顔のクラスメート達を置き去りにして、教室を出る。ヒナタに引かれて行った先は屋上。