彼はクールフェイス☆



誰もいない屋上。天気がいいから暑いくらいだけど、ちょっと日陰になってる場所に並んで腰掛ける。

私の肩が、ヒナタの腕に当たる。シャツから出てる、引き締まったしなかやな腕は、なんだかとっても男の子してる。

付き合ってるっていっても、カレカノらしいスキンシップは無かったから、ドキドキするし、かなり緊張するよぉ。



ちらっとヒナタを見ると、長い足を組んで軽く寄り掛かり、眩しいのか少し目を細めて遠くを(多分)見てる。




「何か見える?」



余りにも一点をジーッと見てるから、凄い気になって聞いてみた。すると…



「いや…特には」



一瞬の間…我慢の限界。もう堪らなかった。


「…あはは♪ぼーっとしてたんだ。可愛い♪」



普段、絶対隙がないように見えるのに、もしかして結構ぼーっとしてることが多い?


「可愛い?俺が?初めて言われた…怖いってはよく言われるけど」



あれ?珍しく目見開いちゃって…ビックリしてる?
表情が顔に出るのなんて滅多にないから、私の方がビックリだよ。



「ヒナタは全然怖くないよ。ホントは優しいの、ちゃんと見てれば分かる」

「……」



慌ててフォローしたけど。
私は、ヒナタの意外な一面が見れて嬉しかった。

心が解けて、いつの間にかさっきまでの変な緊張感が無くなっていた。



「あのね……」




今なら渡せるかも。
手に持っていた小さな紙袋をヒナタにさしだす。




「昨日さ、リカ達と買い物行ったら見つけたの。使ってもらえたら嬉しいんだけど…」

「………」

「あっ、好みあるから好きじゃなきゃ無理しなくていいから。貰ってくれるだけでも嬉しいし」

「……」




なんか私一人で喋ってる。ヒナタもなんか言ってよぉ~。

気まずい空気……。
貰ってくれない…か。

諦めかけたその時だった。



「くれんの?」

「う、うん」

「………サンキュ」


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