彼はクールフェイス☆
ヒョイと取り上げられる紙袋。
も、貰ってくれたぁ。
それだけでもう天にも昇る気持ちだった。
「…じゃ俺行くから」
「うん…」
ヒナタがいなくなり、シーンと静まり返る屋上。
柵に近寄って下を見下ろすと、陸上部がアップを始めてる。
「へへっ、少し近づいた気がするぞ♪」
空を見上げると二筋の飛行機雲が交差してる。
そこに手の平をかざしてみた。
まだ残る、ヒナタの手の感触と温もり……
「手ぇ……繋いじゃった」
胸の内に膨らむヒナタへの気持ち。
もっと触れたい。一緒に居たい。
沢山喋らなくとも、同じ空間にいれたらそれでいい……
「デート…楽しみだなぁ。どこ行こっかな」
それが叶えられる初めてのデートが、今は待ち遠しくて堪らなかった――――