彼はクールフェイス☆
ふいに、スッと肩に乗せられる手。
ビックリして振り向くと、ヒナタだった。
余り表情ないけど、見下ろす視線が私を心配してくれてる。
目のとこ…少し切れてるよ。
悪いこと何もしてないのに……悔しい。
怒り心頭で真っ赤になってる私を、男子生徒はジーッと見てたかと思うと、プッと吹き出した。
ムッとして睨み付ける。我慢も限界。
「ちょっと!笑い事じゃないんですけど!」
「ゴメン、ゴメン。悪いのこいつらだってわかってるから」
「当たり前でしょ!ヒナタは悪くないんだから」
「ちょっと待てよ。その女信じるの?」
今度はあいつらが騒ぎはじめる。うっさい!
「私だっておばあちゃんとヒナタの敵討ちたかったのに…邪魔しないでよ、お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃん!?」
そう。この人、成宮リュウ。紛れも無い私のお兄ちゃん。
兄貴はこんなに有名人でも、同じ学校に妹がいるのは余り知られていないらしい。まぁ、私は地味だからね……。
「ゴメンて。たまたま通り掛かっちゃったからさ。ミュウが手出すまでもないだろ?」
さっきのバシッ…は、私が拳を鞄で払った音。
ちなみにドサッは、お兄ちゃんの拳がお腹に入って倒れた音。
まだお腹押さえてうずくまってる。ふん、いい気味!
「でも婆ちゃんて?」
私はすぐにお兄ちゃんに訳を話した。
ヒナタがおばあちゃんを助けてくれたのを知ってるお兄ちゃんも、まさか犯人がこの人達で、逆恨みでヒナタ狙ってたのは知らなかったみたい。
みるみる顔が険しくなる。
「おまえら…」
「うわっ…」
お兄ちゃんに胸倉掴まれてビビってる。
「ゴメン。あんときの婆さんがまさかリュウの婆ちゃんだったの知らなかったんだ。それに小池の彼女がまさか妹だったのも……ほんとゴメン!」
「ミュウ、どうしたい?」
「…八つ裂き」
「ごめんなさい!」