彼はクールフェイス☆


ついきつい言葉で返してしまった。
本当は嬉しいくせに。



「あの雨の日、ミュウが傘無いのわかって…(木村)大輔にだけは好きなコいるって言ってたから、気ィ使ってくれて。相合い傘できて…内心超ドキドキしてた。お前の婆ちゃんと会ったのはホント偶然だったけど…」

「………」


「俺あんまり笑ったりとかしゃべったりとか苦手で……つい無口になったり無表情なったりするから、イマイチ周りの印象悪くて。いっつも大輔とかに注意されて気をつけようとはしてんだけど、うまくいかないし…だけどミュウは違った」


いつになく真剣な眼差しを向けられて、蛇に睨まれた蛙のごとく、動けなくなった私。


「ちゃんと目を見て話してくれて、言いたいことわかってくれて……コイツならって思った」




今まで聞いたことなかったヒナタの本音。
そっか…そのクールフェイス、人知れず悩んでたんだ。


なんだかおかしくなっちゃって泣いてたのも忘れて、思わず笑っちゃった。




「なんだよ。さっきまで泣いてたくせに………」

「だってさぁ……へへっ、もぅいいや」



一人で怒ってたのが馬鹿みたい。
表現が下手なだけで他の人と変わらない。ちゃんと好きで居てくれたならそれで充分。




「好きだよヒナタ…大好き☆」




椅子を足で操ってヒナタの隣に。ピッタリ寄り添って、腕に絡み付き見上げると……まぁた無表情だよ。



「ヒナタったら~。また無表情になってる」

「これは無表情じゃなくて真顔なの!」

「なんで真顔?」


「ミュウ」

「ん~?…わっ」




急にヒナタとくっついてない方の肩を引っ張られて、クルンと向きを変えられた。さっきと同じく向き合う形に。




「好きだ」


「へっ!?」




ビックリした。急に飛び出た、ずっと欲しかった愛の言葉。
真っ赤な顔したヒナタ………



< 30 / 32 >

この作品をシェア

pagetop