彼はクールフェイス☆


「好・き・だ」


「うん…嬉しい」




毎日聞ける好きより、私にとってずーっと重みあるヒナタからの気持ちがすごく嬉しかった。



「教室、戻ろ」




カタンと立ち上がって、背を向ける。よっぽど恥ずかしいらしく、耳がまだ赤い(笑っ)。


それがあんまり可愛くて……




「ヒ~ナタ♪」

「…?」



呼ばれて振り向いたヒナタを確認すると、ん~……と目をつぶって上を向いた。



ガタっ!




あ~ぁ、ビックリしてる♪そうだよね、奥手のヒナタに代わって誘っちゃってんだもん。



「早く……」

「………」





とは言え……。

いつまでもこの恰好は恥ずかし~。
あんまり放置しないでよ~!もうちょっと乙女心考えて~(汗)



しばし沈黙の中…







チュッ♪





本当に一瞬だったけど……確かに唇に触れる感触。

目を開けると、そこにヒナタの顔はなくて…少し離れたところで背を向けて、ワシワシ髪をいじってる。

ふふっ、照れもいい加減、限界なんだろうな~。

じわ~っと込み上げてくる嬉しさを噛み締めながら、椅子から立ち上がってヒナタに絡み付く。




「行こっ♪」



一目も憚らず腕を組んだまま廊下を歩き出す。

周りからどんな目で見られたってヒナタはヒナタだもん。なにも変わらないわ。

「ねぇ?」

「何?」


さっきから気になっていた事を聞いてみる。



「さっきからミュウって呼んでるね☆」

「あ………うん」



なんだなんだ?その微妙な返事は~?


「出来れば触れてほしくなかった…」

「なんでよ」


見上げると、ちょっと困ったような横顔。



「…ずっと逃してた。苗字から名前に呼び変えるタイミング」



そ、それだけの理由だったの!?

クールフェイスの裏に、いつ呼ぶかって凄い悩んだんだろうな~って思ったら…可愛すぎるっ!もぅ胸キュン☆だよ~。

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