彼女が変身した事情
きもち
-RRRR♪……-





「あ~?………」



携帯が鳴る音で目が覚める。



「…………もしもし」



自分でもわかる。声が不機嫌。だって眠みぃんだもん………。




「良介か?お前今どこだ!また女のとこか?」
「親父………」



ったくそれは自分だろうが。浮気性の女好きが……。




「うちだよ」
「なんだ珍しいな。ちょうどいい。めかし込んで出て来い」
「は?なんで」
「俺の学生時代の先輩がな、是非お前に会いたいって言ってるんだ」
「出て来いって…親父ロスじゃねーのかよ」
「それが仕事で戻ってるんだ。駅前のホテルの13階のレストラン。俺の名前で予約してるから。絶対来い」
「待てよ。俺にも都合が………」
「来ないと仕送り止める」
「なっ………」
「一時に。じゃ」
「おい………」



-切れてやがる……-



時計を見ると11時。時間ねーじゃん!。




「ったく……」




取りあえずシャワー浴びて目を覚ます。



めかしこんで来いっつったって。何させる気だよ……。


お袋の部屋に行く。一部屋がウォークインクローゼットのよう。紳士服から婦人服からメンズ、レディース………ありとあらゆる種類の装飾品。
その中からめぼしい服をチョイス。


白いシャツにダークグレーのジャケットと同系の細身のパンツ。


「あ…………」


ふと、一つのネックレスが目に入る。紐状になっていて端々にピンクの薔薇がくっついている。


-これ………アイツに似合うかな-



今日出かけるって言ってたか。

無造作にポケットにしまう。




腕時計を見る。タクシーで行けばギリギリ間に合うか―……。



玄関を出る。一応向かい側のドアのインターホンを鳴らしてみる。

-ピンポーン♪-



「やっぱいねーか…」




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