彼女が変身した事情
「お待たせ☆」



ニコニコ顔のマスター。よほどの自信作に仕上がったらしい。


「全然手を加えてないからキューティクルはしっかりしてるし、その割にちゃんと手入れしてたのね~艶があって良い髪の娘♪」



-カチャッ-


「ほら。可愛らしいでしょ~♪」



イスに座ってる優。戸が開く音に気付いてこっちを向く。


「あ、常盤さん?」




-ドキン!-



見違えた。カラーを入れただけで見違えるように明るく見える。毛先をカールさせた髪型も華やかさをプラスさせてる。



-やべぇ…超可愛い-


顔が赤くなるのがわかる。不覚だ………手の平で隠す。



-優が見えなくてよかった……-



「サンキュー、マスター。やっぱあんたに頼んで正解」



俺の面食らった表情を見てマスターも満足げ。


「でしょ~?女の子は磨けば磨いただけ輝くものなのよ♪」


「ホントな………優、次行くぞ」



優に近付いて手を取る。



「あの………ありがとうございました」



律義に深々と頭を下げる優。



「あらいいのよ♪またいらっしゃい」


「マスター、会計はカードで」

「は~い。ネイルはサービスしておくわ~♪」

「常盤さん!?自分で払います!」
「いいから」



財布からカードを出す。


「ちょっとあなた~♪……」



マスターがクネクネと優に近付く。



「今まで何度も良が女の子連れてるの見かけたけど、ここまで大事にエスコートされてた娘いなかったわよぉ☆愛されてるのね~。妬けちゃうわぁ」

「そんなこと………」

「マスター、余計な事吹き込むなよ。優が気にすんだろ」



優の肩を抱く。



「もう他の女には触れないから。優だけを見てるから…気にすんな」
「はい……」



表に出ると正面に赤いポルシェ。



-ガチャッ-


「乗って」
「え…車?バイクは?」
「せっかくセットしたのに勿体ないだろ」




優を乗せて自分も乗り込む。運転席でニヤニヤしてるのは……





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