彼女が変身した事情
「なぜにお母様が。これからどこに……私はいったいどうなっちゃうんでしょうか」
そっか。なんも説明してないから不安がってんだな。
見えないながらもキョロキョロして、自体を把握しようとしてる優の頬を両手で包んでこっちを向かせる。
ホント今までなかったんだぜ?自分の意志で女の子に触れたいなんて思うの。
両手の中にすっぽり隠れるくらい小さな優の顔。食っちゃいたい………
おっと、忘れてた。
「今から優の眼鏡買いに行く。なんも見えなかったら不便だろ。その後、お袋の店に行ってこれから着る服一通り揃える予定」
「そして私はお二人の運転手として良ちゃんに呼ばれたのよ~」
「ええっ!?」
「なんだよ、なんか不満なのかよ」
「だって、そんな私なんかのために……そこまでしてもらう訳には。眼鏡は自分で何とかします。服も今まで通りで」
「ダ~メ」
頬を包んでる手を解こうとしてる優だけど、俺はそれを許さなかった。
「言ったろ?誰にも文句言わせないくらい可愛いくしてやるって。黙って任せときゃいーの!」
「でも……」
「あらぁ、私もいいのよぉ♪」
運転席で俺らのやり取りを見てたお袋がクスクス笑ってる。
「全面的に協力しちゃう☆だって良ちゃんの未来のお嫁さんだもの。つまり私の娘になる娘だから、遠慮は無しよ♪」
「という訳だから、優はなんも心配するな」
「はぁ……」
俺達二人の有無を言わさぬ押しに、優も観念したらしい。
困ったような雰囲気は相変わらずだけど、大人しくなった。
「はい、着いた」
お袋の車が止まった先。高級感があるブティックなんかが並ぶ通りにあるうちの一軒。
よくお袋が装飾品をオーダーする馴染みの店だ。
「いらっしゃいませ。あら…」
優の手を引いて中に入ると、ここのオーナーが奥から出てきた。