彼女が変身した事情
「良介はよっぽどこのコが大切なのねぇ♪ゆくゆくはうちの娘のお婿さんにって思ってたんだけど……ちょっと残念♪」
「は…冗談。娘ってまだ10歳じゃないっすか」
「あらぁ、あと10年もしたら歳なんか関係ないわよ?でも諦めるわ。だってこんなに可愛いらしいフィアンセがいるんじゃね……これなんかどう?」
オーナーが沢山ある中から、表情の邪魔にならない落ち着いたサーモンピンクのフレームをチョイスして優にかける。
「あら、お似合いだこと♪」
新しいヘアスタイルの優によく似合ってる。
こうしてみると、眼鏡かけててもすげぇ可愛い。昨日まで分厚いビン底みたいなのをかけてたなんて信じらんねぇぐらい……。
「優はどう?」
「はい………いいです」
「じゃこれで」
「かしこまりました♪」
これで優の改造計画は一先ず終了だ。
待つこと小1時間。手に小さな袋を下げた優が出てきた。
眼鏡をかけてないとこを見ると、その中に入ってるらしい。
視線に気付いたのか、プラプラ振って見せてる。
「取りあえずコンタクトは入れてるので」
「ちゃんと見えてる?」
「あ、はい。視界は良好です」
「そっか」
さて行くかとばかりに、俺にとったら超自然に腕出したんだけど……
「なんで掴まんねーの?」
一向に優が掴まる気配がない。
それどころか小首を傾げてる。
「何でと言われても……もう見えますから。どうぞお構いなく」
「は?なんだそりゃ…」
腕組んだり、肩抱いたりするのは、見えない優の介助だとでも思ってたのかよ。
もう半ば無理矢理に優の手を掴むと、車に連れていく。
そこには、買い物終わって車で待機してたお袋がニコニコ顔で待っていた。
「終わった?あら、優ちゃんコンタクトにしたのね♪じゃ次はうちの店に行くわよ☆」
走り出す車の後部座席。
「あのさ優…」