彼女が変身した事情


優がイケてない。そんな理由だけでいじめる馬鹿な奴らに、本当に可愛いとこ、イケてるとこを見せ付けてやりたかっただけなのに……




「ムカつく…」





ガバッと起き上がって、更に高いところへ。
鉄の梯子を昇って、出入口の真上に陣取った。


ここに昇ると街が一望できる。
住宅街、森、緑地公園に海……住み慣れた街。

優がやってくるまで、こんなに女の子に夢中になることなんてなかった。
ずーっと追い掛けられる立場。
なのに今は……明らかに追う側。こんなに心配で不安でしかたない。
あんなに可愛い優。
優にとったら結局は、俺じゃなくても良いんじゃないか?
こんなに我が儘で自己チューに振り回して。
婚約者だけど、それも最初は親同士の勝手な約束……








ガチャン






戸の開く音。
優か?





「へぇ、優ちゃんて結構不良?ここ、生徒は立入禁止だよ」

「………さい!」




「!?」






男の声!?優の声もする。なんで?





「すげ…穴場じゃん。」

「ついて来ないでください!人と待ち合わせてるんですっ!」




覗き込むと、珍しく感情剥き出しの優と一緒について来たらしい、野郎共3人。




「そうなんだぁ……じゃそいつには帰ってもらえば良いじゃん。俺らとしよ♪」
「できません!そんなこと…やっ」



一人が優の肩を抱く。




「またぁ、ここで楽しいことしてたんじゃないの?(笑)」

「今までのイケてない格好はカモフラージュだったってこと?やるぅ♪」


「離して…っ」



「俺らとしてくれたらね」

「何……」

「良・い・こ・と♪」

「やだ……っ」

「だって~♪可愛い☆ウルウル目に俺、理性飛びまっす♪」

「約束してるんです……彼が来るんです…」

「彼~?いないじゃん」




「いるよ…ここに」





ムカついてムカついてどうしようもなかった。

お前ら……優に触ったな?


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