彼女が変身した事情
「嫌だったの。良介と別れた途端、今までとは手の平を返したようにお友達になろうって寄ってくる男の子達が…凄く嫌だったの。地味で陰気な本当の私を知ってて、それでもいいって言ってくれるの良介だけだもの。私……良介のものになりたい」
「………っ!?」
「苦しくてもいいの。良介のキスは……いつも優しいから。もっと沢山してほしい」
今まで言われたことが無い優の言葉。
一瞬で耳まで赤くなるのが分かった。
こういうの嬉しい、めっちゃ嬉しい!
小さな細い身体をぎゅっと抱きしめ返す。
大好き。もうマジ大好き!
「優…あのさ」
「はい?」
「ホントの俺って自分でもよくわかんなくなった。経験ばっか多いくせに、優が絡むとどうしようもないくらい余裕なくて。俺…めちゃくちゃ格好悪りぃんだ、実は」
見られたくなくて隠してきた面を思い切って話してみた。
これからもずっと一緒に居たいと思うから。
俺の言葉に反応して見上げた優の顔。
たまんなかった。
「良介は優しいから。私が嫌がらないようにいつも気を使ってくれて……嬉しい」
超緩い笑顔で、今までの俺が抱いてた不安や嫉妬心を全部包み込んでくれちゃう、そんな顔。
「優しいのは優だろ?いつも俺なんかを優先してくれちゃう。なのに俺は優を困らせてばっか」
「なんで?そんなことないよ。最初はなんて強引なんだろって思ったけど……全部私のこと考えてくれてたもの」
「いや、優のほうが……」
「良介のほうが」
「いや……ぷっ♪」
「ふふっ♪」
お互いムキになってんのがなんだかおかしくて……抱き合ったまま二人で笑った。
さっきまでの落ち込んだ気持ちも、怒りもどっかに行っちゃってかけらすらないから不思議。
「ねぇ優…」
「クスクス……何?」
「このままふけちゃお?」
「えっ?」
驚く優の耳元にそっと囁いた。
「俺のものになりたいんでしょ?」