彼女が変身した事情
だいすき
◆
「……ちゃん、良ちゃん起きて」
「ん……」
「ご飯食べに来て。学校遅れるから」
「あぁ……」
まだ覚めきらない眠い目を擦りながら、かったるい身体をなんとか起こす。
隣で眠っていた筈の優の姿はない。
いつの間にか起き出して飯の支度してくれたんだ~。
にしてもかったるい。
久々だから頑張り過ぎたかなぁ。
まぁそれもあるけど、気持ちが高ぶってなかなか寝付けなかった。
やっと優を俺の物に出来た訳だから仕方ないっちゃ~仕方ないけど。
ゆっくり制服に着替えて、身支度を済ませるといつものように奈月邸へ。
玄関を入ると朝ごはんのいい匂い。
「う~っす…優、飯なぁに?」
「おはよう。今朝は和食です。良ちゃんの好きなダシ巻き卵あるよ」
「やたっ、ラッキー♪」
テーブルについて飯を待つ。
ホント新婚みてぇ♪
頬杖ついて味噌汁の準備をしてる後ろ姿に見とれる。
今日も可愛いなぁ、俺の優………ん?
何かがおかしい。
……おさげ?
「優?」
「はぁい?」
「なんかおかしくない?」
「何が?」
いや、なんか変だって。
「あ、お待たせ。お腹すいたでしょ」
「あぁ………ぅええっ?」
振り向いた優を見て驚いた。
驚いて思わず椅子から転げそうになった。
だって……
制服はかわんないけど、せっかくパーマかけたのにおさげにしちゃって。
そしてなにより…眼鏡が元の瓶底に戻ってんじゃねーか!
「どうしたの?変な声出しちゃって(笑っ)」
「優、それ……」
なんて事ない顔でかいがいしく飯の支度をしてくれながらチャッと眼鏡を触って見せる。
「昨日、水泳部の顧問の先生が届けて下さって。見つかって良かった」
「じゃなくてっ……」
「いいんです!」
ぴしゃっと俺の言葉を遮る。