love song

「SERINA、ミーティング始めるぞ」
雅人一家の事をボーっと考えていたらマネージャーがソファーに座っていた私の肩をポンと叩いて声を掛けてきた。
「あ、はい、宜しくお願いします」
新曲のミーティングは大体同じ感じ。どんな感じで曲を作っていくか…今回はもう既に曲は出来ていてそれを聴いてその上に私の歌詞を付けていく。CDに曲が入っているのをその場で聴いた。私の得意なバラードだ。1回聴いただけで気に入った。歌詞も次から次へと浮かぶ。テンションが上がる。毎回だが、新しい曲に出会うと世界が広がる。私は好き嫌いが激しい為ボツになる事もあるが私の専属になってくれた作曲家である吉野瑞樹さんの曲は本当に素晴らしい。吉野さんの作った曲は必ず売れる。
「…どう?気に入った?」
「はい!凄く気に入りました」
「良かった…私もこの曲は自信作なんだよね。後はSERINAちゃんの歌詞を乗せて世に出るだけ」
吉野さんは親指を立ててにっこり笑ってくれた。
「今日彼氏さんのとこに行くんでしょ?良いフレーズが浮かぶと良いわね」
半ばからかうように言う吉野さんに私は頷いて返した。吉野さんも専属になる時に顔出しNGの事も雅人の事も話していたので気楽に話せる。しかも、お喋りそうに見えて口はかなり堅い。必要最低限で私の事を知っている人の前でしか雅人の事は触れない。
私はスタッフにとても恵まれた環境にいる事を感謝している。
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