love song
面会時間が近くなると私は雅人の病室から出た。季節はもう冬。窓の外を見ると粉雪が舞い始めていた。コートにマフラーを着用して廊下を歩いていると、待合室におばさんを見付けた。私は空気を読むのが下手だから、何も考えずおばさんに声を掛けた。
「おばさん?どうしたんですか?」
「あ、やだ、芹名ちゃん」
おばさんは慌てて目を擦ってこちらを見て笑った。泣いていたようだった。それでも笑顔をくれる。そんなおばさんを見ているのは辛かった。するとおばさんは真剣な表情で私を見た。
「芹名ちゃん、もう雅人から解放されても良いのよ?新しい彼氏作って幸せになってもいいのよ?芹名ちゃんは幸せにならないと…」
「え?あ、あの、私、何か悪い事しましたか?」
私は慌てて尋ねた。
もし、私の存在が雅人の負担になっているなら大問題だからだ。