love song

「ただいま」
家に着くとまた誰もいないのに靴を脱ぎながら呟いた。部屋は寒く、まずは暖房を入れてソファーに座って目蓋を閉じて雅人の事を考えていた。
「…代わってあげられたら良いのに…」
おかしな話だ。ご両親からの愛情もいっぱいでご両親も仲良しで家庭の温もりも沢山知っている雅人が何故病気なんかになってしまったのか…私みたいに親に疎まれ温かい家庭なんて縁がなく誰にも必要とされずただ生きているだけの私の方が病気になっていれば良かったのに…
「……雅人に怒られるかな」
考えた後に自嘲気味に笑いながら天井を見上げた。今日の私はおかしい。ネガティブにしか何事も考えられなかった。こう言う時は寝るが一番。私はお風呂に入り酎ハイを1缶呑んでベッドに入った。
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