love song

「お姉さん、名前は?」
来るなと言った次の日に性懲りもなく来た雅人は無邪気な笑顔で問い掛けてきた。別に名前くらい良いかと思い…
「川山芹名。あなたは?」
「関口雅人。18歳。お姉さん幾つ?」
「同い年」
「あ、なんだ。同い年か。帽子にサングラスじゃ歳分かんないね」
ギターやらの機材を片付けながら他愛もない会話を続けた。初めはイラッとした時も多々あったが、雅人との会話は徐々に楽しくなっていった。まだ病気の事を知らなかった私は雅人が来なかった日は拗ねて、次に来た日に冷たい態度をとった日もあった。
そのたびに雅人は困ったように笑っては私の機嫌をとるように話し掛けてきた。
困らせたいわけじゃないのに…。雅人は優し過ぎる。私が子供のようにツンケンすると上手くフォローして笑わせてくれる。そんな雅人への想いは日に日に変わっていった。無自覚だったが。
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