Star blink of twins
そこには、彼女がよく知る人物が立っていたからだ。
「テクス、何故お前がここにいる…」
思わず低いトーンで零すと、テクスと呼ばれた青年は、翡翠色の瞳を細めて微笑んだ。
「ハウェル様がいらっしゃるところになら、どこへでも行くのが仕事です」
こともなげに言い放つテクスに、ハウェルは恨み言の一つでもいってやりたい気分だった。
「ご苦労な事だな」
ハウェルはつまらなそうに呟くと、改めてテクスのことを見つめた。
宝石のように輝く翡翠色の瞳に、それと同じ色合いの髪。
柔らかな表情。
神殿に勤める若い女たちの間で、「翡翠の君」などという通り名がついているだけはあり、その顔は端正なつくりをしていた。
「さぁ、ハウェル様。毎度貴女が神殿を抜け出すたびにマーヤ様にお叱りを受ける私の身にもなってください」
戻れ、と目だけで訴えるテクスに、ハウェルは身を乗り出して口を開く。
「うるさいやつだ。毎度ちゃんと戻っているじゃないか。ローム家の人間が、私の脱走程度で一々騒ぐな」
「何を言うんです。ローム家の人間だからですよ」
驚いた様に言うテクスに、ハウェルは顔を顰めて溜息をついた。
しょせんは職務だからお互い間近にいるだけの存在。
そういわれたようで、ハウェルは胸の奥が痛む。
「もういい」
ハウェルはそう言うと、相当な高さのある塀から飛び降りた。
まるでわかっていたかのように、その身体をテクスが受け止める。
「テクス、何故お前がここにいる…」
思わず低いトーンで零すと、テクスと呼ばれた青年は、翡翠色の瞳を細めて微笑んだ。
「ハウェル様がいらっしゃるところになら、どこへでも行くのが仕事です」
こともなげに言い放つテクスに、ハウェルは恨み言の一つでもいってやりたい気分だった。
「ご苦労な事だな」
ハウェルはつまらなそうに呟くと、改めてテクスのことを見つめた。
宝石のように輝く翡翠色の瞳に、それと同じ色合いの髪。
柔らかな表情。
神殿に勤める若い女たちの間で、「翡翠の君」などという通り名がついているだけはあり、その顔は端正なつくりをしていた。
「さぁ、ハウェル様。毎度貴女が神殿を抜け出すたびにマーヤ様にお叱りを受ける私の身にもなってください」
戻れ、と目だけで訴えるテクスに、ハウェルは身を乗り出して口を開く。
「うるさいやつだ。毎度ちゃんと戻っているじゃないか。ローム家の人間が、私の脱走程度で一々騒ぐな」
「何を言うんです。ローム家の人間だからですよ」
驚いた様に言うテクスに、ハウェルは顔を顰めて溜息をついた。
しょせんは職務だからお互い間近にいるだけの存在。
そういわれたようで、ハウェルは胸の奥が痛む。
「もういい」
ハウェルはそう言うと、相当な高さのある塀から飛び降りた。
まるでわかっていたかのように、その身体をテクスが受け止める。