Star blink of twins
 ハウェルの胸のうちを支配するのは、言い知れぬ孤独だった。
虚しさに胸がずしりと重いのは、何もテクスに痛烈な言葉を吐いたからというだけではない。

それは、ハウェルがずっと抱いてきた暗い感情であり、誰にも打ち明けられないものだった。


(どうして、いつもこうなんだろう)

どこか他人事のようにハウェルはぼんやりと考える。
テクスなら…こんな自分の気持ちも、或いは受け止めてくれるのではないか。
どこかでそんな甘えが、彼女を支配していたのも事実だった。
それを他人に要求するには、あまりに彼女の置かれている立場は大きすぎる。

 それをわかっているからこそ、ハウェルはやり場のない気持ちをこういう形でしか表すことができないのだ。


「私が…神子以外の何者かになれるはずなど、ないのに」

呟きは、さざ波の様に。
ハウェルの心に小さな波紋を起こした。



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