脱力系彼氏
「ね、じゃあ、今日はバイト入ってないんだよね?」

「うん」

「じゃあ、遊ぼうよ!」

「……」



……あれ?
どうして何も言わないの?


昇ちゃんは目を逸らしたまま、決まりの悪そうな顔をしている。

こういう時にだけ、本能的に分かってしまう。


「……遊べない、の……?」

昇ちゃんは何も言わずに目だけで頷いた。


「何で……?」

あたしの消えそうな声にも、昇ちゃんは振り向かない。どこかを見つめてる。


「……用、大事な」


大事な……?
昇ちゃんにとって、大事な用事?

何、ソレ。


でも……聞ける訳がない。


「そっか……。分かった」

あたしは引き攣る顔に無理矢理笑顔を作らせて、「仕方ないよね」と言ってみせた。
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