恋愛流星群

 その群衆の中に、見知った人物を見付ける。まだ距離は遠く、校門を抜けたばかりではあったが、私がその人を見間違うはずがなかった。

「先輩だ」

 誰に言うでもなく呟かれたその言葉は、風で揺らめくカーテンに巻かれて消えていった。

 教室の真下まで来た彼は、ふいにこちらを見上げ、目が合った。
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