恋愛流星群

 彼女の姿が視界から消えると、再び口から溜め息が漏れる。

「まったく……」

 そんな言葉を口に出してみるが、自然と頬が緩んでいることに気付き、引き締め直す。
 残された俺と、甘い香り。

 煙草を吸い直そうかとポケットに伸ばしかけた手を止め、その香りにしばし酔いしれながら、言い訳を考える。

 悪戯な女子生徒に吹き掛けられた、で良いか。嘘ではないのだから。

 高原の悪戯っぽい笑顔が浮かび、再び頬が緩んだ。
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