彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
わたしが見上げる形で目が合うと、その2年生は、ふっと小さく笑った。

「仕方ないから説明してあげるわ。男子高等部1年に彼はいる。これはね、彼には手を出しませんっていう結束書」

そう言って、ぱしっと、紙切れを机に叩きつける。

結、束、書?

「あの、これって、いったい何のために……」

当然思い浮かぶ疑問を口にした。
2年生は真顔で腕を組んでいて、返答はない。

「……ねえ、」

だったら、と、近くクラスメイトに声をかけようとして、周りの様子にどきっとした。
なぜかって――休憩中なのに、誰一人その場を動こうとしない。
まっすぐこっちを見ている子、目を逸らしながらも聞き耳を立てている子、ひそひそ話しながらやり取りをうかがう子たち。
教室中のみんなの意識が、わたしの机一帯に、特にわたしに集中しているようだった。
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