彼女のattitude ～学園・非公認的恋愛～

「教えて。わたし、その男子のことだって、本当に知らないんだ」

日野さんは小さく頷く。
その瞳に、わたしを疑うところはなくてほっとした。

「……ちょっと長くなるかも。彼はね、」

その『彼』は、中等部に入学した当初から、ちょっとした話題の的だったらしい。

家が有名な芸術一族であること。
だけど気取ったところはまったくなくて、よく笑い、性格は穏やか。
勉強もスポーツも、嫌味にならない程度にそこそこ器用にこなす。
加えてクセのないルックスで、誰からも等しく良い印象を持たれている、そんな生徒だったという。

「変化があったのは、中１の冬でね」

代々受け継いだ才能を順当に開花させた『彼』は、芸術分野で全国区の賞（カタカナで聞き取れなかった……）を受けた。

それをきっかけに校内での注目度は爆発的に高まる。