彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
「……えっと、日野さん。わたし、そろそろ着替えるからさ」

「そうだね! それじゃあまたあとで」

日野さんは小さく手を振り、自分の席へ向かった。

なんで、こんなこと……。

着替えながら日野さんのほうをチラ見すると、寄ってきたクラスメイトと何やら話している。
距離があるため、内容までは聞き取れない。
目があいそうになって、あわててジャージの上着をかぶり、振り返らないまま、ひとりで教室を後にした。

――ったく、なにやってんだか、わたし!

教師の掛け声で、スタートラインを飛び出す。

ペース配分も忘れて、思うままに走った。
胸が苦しくなる、息が切れる、だけど頬を滑っていく風が心地いい。
ただ身体を前へ前へ進ませることだけ考えて。

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