彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
ひやりとした空気が唇をかすめる。
口を開いたものの、続く言葉が出てこない。
なんて声をかけるの?
名前、知らない。
そういえば、この間は向こうがわたしに呼びかけてきたけれど、あの時、どう言われたんだっけ。

「……お、おいっ」

男の子が驚いてこっちを見る。
わたしはその視線に射抜かれたみたいに硬直してしまう。
身体の温度が、ぐんぐんあがっていくのが、わかる。

ちょっと、桐!
『おいっ』だなんて、他にも何かあるでしょう――!
とっさに出てきた言葉がよりにもよって、『おい』って!

男の子の目尻が下がる。
すぐさま駆け寄ってきて、その口元から吐息が漏れた。
それは、なんだか優しさを含んだような。

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