彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
シキ。

苗字?
名前?
それともあだ名?
判別できないその響きは、何だか不思議な感じがした。

「……早坂桐、女子高等部、同じく1年よ」

相手にならって、名乗る。

「シキとキリって……なんか似てるね!」

カメラの男の子、あらためシキは、嬉しそうに言う。
果てしなくくだらなくって、つい噴出してしまった。

「桐は、夏のはじめに、きれいなうす紫色のかわいい花をつけるよね。君に似合いそうだ」

自分の名前について、そんな風に言われるのは、はじめてで。
歯が浮くくらい、甘いよ。
恥ずかしい、だけど、新鮮で、この気持ちをどう処理すればいいものかわからない。

そういうの平然と言っちゃうなんて、やっぱり、君って、気障。

もし、わたしの心が見透かされたら、怒るのかな、それとも、笑うんだろうか。

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