彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
◆ ◆ ◆

この場所は、『千年の静緑』と言うんだよ、ってシキは言った。
ずっと昔、このあたり一体は森林で、ここだけを残して千年学園が建ったのだと。
いわくがつきまとうのは、その歴史のせいだろうか。

夏に向けて、木々の葉の緑が濃くなった。
その香りも、少し、さわやかなものに変わった。

「……もうすぐかな」

カメラをおろし、シキが呟いた。

「ん?なんのこと?」

そう尋ねると、シキははぐらかすように笑った。

シキは、出会ったあのベンチ(?)に向かって、カメラを構える。
まわりをぐるぐる移動して、微妙に角度を変えながら。

ただの大きな石が被写体なんて、シキは変わってる。

わたしはそう思いながら、黙って様子を見守っていた。
シキが集中している時は、お互い無言。
そんな過ごし方も、定番になっていた。
< 87 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop