彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~
あの場所はわたしにとって非日常で、シキはそこだけで会う登場人物で、そのシキが『日常』に現れて、誰かと会話してること。
半身ずつが、別の世界に浸かっているような。
なんだか、とっても不思議な感覚だった。

「じゃあ、帰ろうか」

そう言うと、シキはわたしの手首を掴んだ。
抵抗なんかする間もなく、シキは歩き出す。

「ちょっと、わたしの家は逆なんだけどっ!」

それより、手!
手、離してほしいんだけど!

そう思ってもふりほどけなくて、ぐいぐいと手を引かれ、シキの後に続く。

その時わたしは、周りが何も見えてなくて。
誰が、どんな風にこの様子をうかがっていたかなんて、まったく気に留めてなくて――。

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