天を衝く槍
8.新学期が始まりました
そして時は過ぎ、4月になった。
私がここに来て一年が経った。
そして今日はでこの職場でもやる、毎年恒例の健康診断の日。
「はぁあ!!?何で!!?」
健康診断が終わって、一列に並んで結果が書いてある紙を貰っている最中に、中肉になっているリャノが声をあげた。
「なんや?やかましいのう」
ヨースケが眉間にシワを寄せて言う。
「なんで喚いているか大体は予想できるけどな」
「まぁ…リャノを見れば一目瞭然だよね」
ジルが笑って、ギルは呆れたように言った。
「あんな食生活してたからですよ」
ウルノがリャノの肩に手を置き、言う。
リャノは今までデブまっしぐらになる食生活をしていたのだ。
任務から帰ってきて、すぐにドーナッツをたらふく食べてはすぐ寝る。
そして休みの日は、憑かれたように高カロリーなものを食べては寝る。
しかも食堂のオバちゃんも呆れるほどの量をだ。
「止めとけって言ったんやがなー」
ヨースケが苦笑し、リャノが死んだ魚のような目をする。
「…なんかあったのかなぁ」
私は誰に言うわけでもなく、思ったことをそのまま呟く。
もし悩みがあれば私が聞くことくらいは出来るのだg―—
「ヒヨコに悩みは打ち明けれないよ」
隣にいるシロさんがシレッと答えた。
「……それ、どういう意味ですか」
私は思わず半目になる。
それは私が人の話が聞くのが下手だと言いたいのか。
それとも、人の悩みを人に話すほど口が軽いという意味だろうか。
「どうもこうも、そのままの意味」
彼は無表情のままそう言い残してどこかへ行ってしまった。
「………………」
私は彼の背中を見ていた。
「な…なんかコウガからどす黒いオーラが……」