天を衝く槍
……よ、夜這いって…ジルってそんな大胆なことしてたんだ…。
私、アルと同室なのに全く気付かなかった…!!!
いや、もしかしたらそんなこと気付かなかった方がよかったのかも…。
「…………………」
よ、よし!
このことはもう考えるのやめにしよっ。
私はそう思って深呼吸をし、階段を上った。
因みに、ガラスのエレベーターはメンテナンス中のため使えない。
「あ、コウガ!」
ちょうど4階に着いた頃だろうか。
ギルが楽しそうな顔をして、私にこちらに来いというジェスチャーをする。
彼の近くにはフィーネさんとシロさんとヨースケがいた。
「なに?」
「おもしろいモン見に行く?」
ギルがものすっごい楽しそうな顔をする。
「おもしろいモン?」
「そうそう。アルのデレが見れるで?」
ヨースケが腕を組んでニヤニヤしはじめた。
「……アルのデレって…」
「行こうぜ行こうぜ!どうせあいつら中庭にいるからさっ」
ギルが私の腕を掴んでぐんぐん進む。
「え、ちょっ」
私、まだ行くとは言ってないんだけどなぁ…。
なんて思いながら、私はギルに手を引かれて中庭に行く。
「てか、何でアル達が中庭にいるって分かるんです?」
「あれ、アルから聞いてへんの?あいつらよくあっこで会うんよ」
ヨースケはそう言い、日当たりもいいしなぁと付け足す。
「………………」
聞いてないなぁ。
……まぁ、そんなこと私に言う必要性もないし。
いっか。
なんて思っているといつの間にか中庭に着いた。
あ。
私、中庭に来たの初めてかも。
大きな噴水があって、地面は芝生におおわれている。
……変わったとこだなぁ、ここ。