天を衝く槍
「あたし思ったんだけどジル、」
アルは噴水の前の白いベンチに座りながら言い、ジルも彼女の隣に座る。
「んー?」
「なんでそんなにデカイんだ?」
「……ん?」
ジルは目をパチパチさせて彼女を見るが、彼女の目は真剣なものそのものだ。
「なんでって言われてもなぁー…」
困ったようにジルが笑い、愛おしそうにアルを見る。
「遺伝なんじゃね?フツーに」
「遺伝かぁ…やっぱ遺伝だよなぁ。うんうん、そうだよな、フツーに考えてそうだよなぁ…」
「なーんで凹むんだ~?」
ジルがにやにやしながらアルを見て、彼女は彼からプイっと視線を逸らした。
「……べつにィー」
アルは口を尖らせて、ほんのり頬を赤らめていた。
「あ。あとさ、ずっと気になってたんだけどs―・」
彼女は思い出したように勢いよくジルの方を向いて言うが。
「っ!!!」
ジルとアルの鼻が当たりそうな距離だった為に彼女は言葉を失った。
「近い!!!」
彼女はそう吐き捨てて、真っ赤になった顔をものすっごい速さで背けた。
「どした?なんか聞くこと多くねぇ?」
ジルはアルを後ろから抱き締め、自分の顔を彼女の首に近づける。
「いやまだ二つ目だか、らッ!」
「ぅぐっ」