天を衝く槍


「聞きたいことあったんじゃなかったの?アル」


不意に、シロさんが言った。


「あ、そうそう」


「俺らの子供の名前な」


ジルがそう言うと、一斉にフィーネ以外の視線が集まる。


「お前、もう黙っとけや」


そんなヨースケの言葉と共に全員の視線が彼に突き刺さった。


特にアルの視線が。


「で、何?」


それを見かねたギルがアルに聞く。


「あ、えー…っとなんだっけ」


彼女は瞬きをして腕を組む。


どうやらあれこれしていた間に忘れてしまったようだ。


「アル、あのことだろ?」


ジルがアルに確認を取る。


「…あのこと?あれ、ジルに言ったっけ?」


アルはキョトンとしたままジルを見上げる。


「……………………」


…ん?


なんかこの感じはもしかして。


「ほら、俺らの子供のなまe―—」


-----どすぅッ


「ぅフッ」


今度こそ、アルがジルの鳩尾を殴った。


「………………」


やっぱりね。




そして。


そんなこんなこんなカタチで、今年度も非凡で平和な新学期が始まったのだった。
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