天を衝く槍


――が


私の腕をシロさんが掴み、それを制した。


「!!?」


当然のことながら私は目を見開き、彼の行動を疑う。


「なぜ…止めるんですか」


仲間が危ないというのに。


しかも新人で、今日が初任務だというのに。


ここで若芽が摘まれてしまってはこの先どうなる?


ソンジュさんはまだまだセルペンテの人数が少ないと言っていた。


「助けることは許さないよ」


シロさんは冷たい目で私を見て言う。


―—何故?


その言葉が私の頭を埋め尽くす。


そして更に追い討ちにかけるように表情を変えずに淡々と言った。


「この程度で死ぬのなら、彼女はAliceに必要ない」


シロさんはそう言って視線を私からダラナへ移し、掴んでいた私の腕を放す。


「………っ…」


確かにシロさんの言うことは尤もだ。


ウサギすら簡単に倒せないのなら、この先Lunaと戦うのにしても足手まといになるだけなのだ。


「………………」


私は眉を顰めせたまま目を伏せ、息をつく。


そして下唇を噛んで、シロさんと同じようにダラナを見た。

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