天を衝く槍
そこに着くと、ソンジュさんが私達をこの場所によこした理由が分かった。
隣で息をのむ音が聞こえる。
息をするのも忘れるほどに、その光景に釘付けになる。
―—なんなの、これ
夕日に照らされているのは、白い壁にベタリとこびりついた茶色く変色した血。
纏わりつくのは、鉄のような血と潮風が混ざったような、なんとも言い難い匂い。
赤い海に浮いた死体に群がるカラス。
グチョグチョと引くような音を立てながらカラスと共に群がるウサギ。
「ウ、そ…」
私の声が裏返った。
なんなの、これ。
初めて見る光景。
小さな町が、白い壁が、赤に呑まれていた。