天を衝く槍


「ふぅッ」


息を整えて壁から背を放し、私は再びウサギを見つけては灰にする。


だけど今回は前ほど簡単にウサギは灰になってくれない。


ただ単に、私の疲労がたまっているだけなのだろうか。


「ハッ」


私は目の前のウサギの首を突いて灰にする。


左から飛んできたウサギをサッと躱して辺りを見渡すと、あと3体くらいにまで減っていた。


タンっと少し飛んで、白い家の上に立つ。


汗がポタポタと落ちていき、輪郭を伝ったのが傷に沁みた。


ふぅぅうっと息を吐いて、こちらに向かってい来るウサギに突こうとした時。


「がッ!!?」


不意に、肩にとんでもない激痛が走った。


「あぁぁぁああぁあ!!!」


グリグリやらミシミシやらメリメリ?


そんなのが混じった音が聞こえて、左肩辺りから生ぬるい風が吹く。


痛い痛い痛い痛い痛い。


そして熱い。


「ぐ…」


左肩を見れば、そこにウサギが噛みついていた。


痛みで腕に力が入らない。


汗が目に沁みる。


槍を持ち替えて、右手で逆手に持ち、適当に突く。


少し動いただけでも左肩が軋むように痛かった。


視界の端には、しめた!というように、こちらに向かっているウサギが笑っているように見えた。

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