天を衝く槍
声がした方を見ると、余裕な笑みを浮かべたヨースケが灰と共に空から降ってきた。
それを見て私は、さっきのウサギは彼の手に掛けられたのだと悟った。
そして近くでバンバンと銃声がした。
ヨースケに手伝ってもらって立ち上がって見ると、アルが二丁の銃を持ってウサギに銃弾を叩きこんでいた。
彼女の銃弾は確実にウサギに当たり、息の根を止める。
「イヤーしかし、いったそうやなぁ。それ」
ヨースケは私の左肩を見て口をへの字にする。
「イヤ、なんかもう感覚ないから痛くないような気がするんですけど…」
私はチラリと動かない左肩を見る。
日が沈みかけてよく見えないが、とりあえずひどく出血しているのは確かだ。
だけどこのまま出血しすぎで死ぬことはないだろう。
肩から腕を伝っていき、指先から地面へと滴り落ちる血が止まったから。
「暗くなる。早く帰ろうぜ」
二丁の銃を仕舞ったアルが、私の近くでタンッと綺麗に着地して言った。
「それに、」
彼女は訝しい表情を浮かべて私の後ろを指し、続ける。
「もっと厄介なヤツが来た」