天を衝く槍
「アァ…やっぱ来てると思ったヨ」
私とヨースケが振り返るよりも早く、聞いたことのない声が聞こえた。
Lunaだろうか。
振り返ると、金色のボブにギルと同じくらい背の低い子供がいた。
男なのか、女なのかは判別できない。
「ツァンジーか」
隣でヨースケが息を吐いた。
「子供が一人でこんな遠くまで来てええん?あ、それとも迷子?」
うっすら口許に笑みを浮かべて、冷たく言い放つ。
いつもの声音ではなかった。
「ソウ心配せずトモ今日はチヤクと一緒ダヨ」
ツァンジーはニヤリと笑い、それより、と私に目を向けた。
反射的に槍を持つ手に力を入れた。
「そんなに強かったかしら?ウチのウサギ」
妖艶な声が耳元……いや、頭の中でしたと言った方が正しいのだろうか。
「!」
私は持っていた槍でその声の主を突こうとするが、遅かった。
「あっ」
それよりも早く、チヤクがものすごい力で私の手首を、槍を掴めないようにひねりあげる。
「まだまだヒヨっ子ね」
チヤクは微笑み、私の手首を持つ手に更に力を入れた。
「くぅ…」
私が悔しそうに睨みつけると、彼女は勝ち誇ったように微笑む。
「………………」
M U K A T U K U ☆