天を衝く槍
「…っ……はぁあぁぁあ…」
殺されるかと思った…。
チヤクが立ち去ってからプツリと緊張の糸が切れ、私はその場にへたり込んだ。
今頃になって汗がブワッと吹き出て、手がわなわなと震えている。
どんだけビビってたんだ、私。
ふーっと息を吐いて、立ち上がろうとした時、ポフ…と頭に何かが乗る。
何かと思って見ると、清々したような表情を浮かべたシロさんが立っていた。
「さっきの機転、良かったよ」
彼はそう言い、少し微笑んだ。
「…え……」
笑った。
―—シロさんが笑った
「けど、生意気」
そんな言葉がグサリと私の胸に刺さった。
いや、自分でもちょっと思ってた。
一番弱い私が、そこまで弱くないって言うっていうのが。
そんな私を見てアルがクスリと笑っていた。
だけど、アルを見るとさっきのことを思い出して少し胸が痛くなった。