天を衝く槍
チーンとエレベーターが鳴って、ドアが開く。
「ここが地下3階な」
出てみると、一瞬、病院かと思うくらい白衣を着た人がたくさんいた。
「研究はここのフロアで、地下3階から地下9階まである」
彼はスタスタと歩いて行き、とある部屋に入った。
「で、ここでさっき言ってた話の続きや」
彼は真剣な顔をする。
「ウサギには人間の力では歯が立たない」
ウサギが初めて人を襲った時、警察はボウガンやらレーザー銃やらで戦ったらしい。
だけど、ウサギの動くスピードについて行けずに、警察もただのエサと化したと聞いたことがある。
「じゃぁ、人間を超える力を手に入れればいい」
彼はこの部屋にある机の引き出しから、一つの緑色の液体の入った注射器を取り出した。
「てことで、創りだされたのがこれ」
彼はそう言って、トントンとその注射器を叩いた。
「端的に言うと、これは肉体増強剤」
「……肉体増強剤…」
私はその注射器をじっと見る。
「そ。人間より骨格が丈夫になってビル25階から落ちても死なんで」
「うわ、スゴ」
思わず本音がポロリと出たのに気づいて、ササッと両手で口を覆う。
それを見たヨースケが笑った。