天を衝く槍
「さて、最終確認や」
彼はそう言って私の眼を見る。
「これが体内に入ったら、人間じゃなくなる」
「……………」
「そうなったら、毎日のようにウサギを倒さんといけんくなる」
「……………」
「勝手にここから出ることも許されん」
「……………」
「任務が嫌になって、ここから逃げ出そうとするとプロヴァ―レに消されるで」
「……プロヴァ―レ…?」
聞きなれない言葉に、私は首を傾げた。
「おう、そうやったそうやった」
彼は私に言いそびれていたことがあったらしく、思い出したように話す。
「何年か前に、実験で改造されたセルペンテの総称やて」
彼は「俺も詳しくはよう知らんけどな…」と付け足し、腕を組む。
「今はそれが、ここから逃げようとする奴らを見つけ次第、殺す暗殺部隊になっとる」
彼は「ナニおっかないモン創りだしとんねん」と気味が悪そうにしていた。