天を衝く槍


「カレンは超強暴な馬鹿力看護師」


できればあんまり関わりたくない、とシロさんが付け足す。


「……………………」


……い…一体、何があったんだ…。


「俺ら一回、バカみたいな大怪我して入院してた事があったんだよ」


まるで私の心の中を呼んだようにジルが腕を組みながら言った。


「あん時はまだガキだったからさ、俺ら病室一緒だったから怪我も治ってねーのにはしゃいでたわけ」


彼がシロさんの肩を組んで、な?と賛同を求める。


「ジル達が勝手にはしゃいでただけでしょ。おかげでこっちまでとばっちり食らったんだけど」


シロさんは少し眉を寄せて、不快そうな顔をした。


それを見たジルは苦笑する。


「で、そこで現れたのが、ものすんごい形相したカレン」


「何をされたのかは覚えてないんだけど、起きたら怪我が増えてた」


「シローは最初に餌食になったもんな」


ジルが笑う。


「すごかったぜー。シローを一発で仕留めたし」


「だから下手に手出しできないんだよ」


なんて話をしていると、ギルがやつれた表情で戻ってきた。


「あ、おかえり」


「もう俺……メンタルぼろぼろ…」


「おー…身体に攻撃じゃなくて精神に攻撃かー」


「……ご、ごめんね…」


私が謝ると、彼はやつれた顔で頷いた。
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